事故現場でもやりたい放題のマスコミ
- 2016/05/16
- 21:14
さて、本日はこの2日後に発生した熊本地震の影響で影が薄くなってしまった、新宿ゴールデン街火災におけるマスコミの迷惑行為など、事故現場におけるマスコミの問題点について書いていきます。
熊本地震の件でもわかるように、メディアは災害現場で関係者に対する迷惑を顧みない取材を繰り返すが、これは事故現場でも全く同じ事になっている。
今年4月12日に発生した新宿ゴールデン街の火災では、消防士や警察官から「消火活動の邪魔になる」と注意されても、注意を無視して撮影を続けるテレビ局や新聞社の態度が問題となっており、災害報道の問題と全く同じ行為をメディアが繰り返している事が解る。
結局のところ、このような状況が繰り返されるのはマスコミ側に「自分達は何をしても許される」という打算が働いているからであり、メディアの側に一切自浄作用が期待できない以上、災害や事故の際の取材方針に対して明確な線引きとなるガイドラインとリスクを伴う法規制を政府が作成する必要がある。
1:平然と消火活動を妨害し続けるマスコミ
まずはこちらの記事から
警察官とか消防士に怒鳴られても退かないとかなんなの!?」 新宿ゴールデン街のバーが火災時のマスコミ取材陣に憤る
ガジェット通信/livedoor news 2016年4月13日
http://news.livedoor.com/article/detail/11409381/
昨日4月12日、ガジェット通信の【速報】新宿ゴールデン街で火災発生http://getnews.jp/archives/1443725[リンク]という記事でもお伝えしたが、13時半ごろ新宿歌舞伎町のゴールデン街で火災が発生。消防車約40台が出動、数棟が燒け約4時間後に鎮火した。
近年では外国人観光客に人気のスポットということもあり、夕方以降のニュースにて、テレビでも大々的に報じられていたのでご覧になった方々も多いのではなかろうか。
火災発生直後より上空にはヘリコプターが飛び交い、報道陣が大勢詰めかけていたのだが、あるバーの店主は『Twitter』にてこんなツイートを行っていた。
あと、取材とかホントやめて。君たちが場所を空けないから消火が遅くなったじゃないか。
この街は狭いんだから。消火の邪魔とかホントやめて。
警察官とか消防士に怒鳴られても退かないとかなんなの!?
とツイート。
取材もお仕事なのかもしれないけど、迷惑かけちゃダメでしょって思う
と続けた。
鎮火後も、テレビカメラを持った報道陣が夜遅くまで取材を続け、翌13日も現場からの生中継が行われるなどしていたようである。細い路地が入り組んでいるゴールデン街、消防車が火元のすぐそばまで入ることができず、今回報道陣のカメラの脚立などが大分消火活動の妨げになったようだ。『Twitter』等には、そのことを諌めるツイートが散見されたようである。
動画
https://www.instagram.com/p/BEGn5ZRrxk0/
記事にもあるように、火災現場に取材クルーが多数押し寄せ撮影を行った結果、消防士による消火活動が遅れ余計な時間がかかったようなのです。
動画の方でも、何度も「消火活動の邪魔になる」と注意されているにもかかわらず、その注意の声がまるで終わらない事から、マスコミが注意を無視しているであろうことが音声からもわかります。
なぜこのような事がおきるのかと言えば、本来ならば消火活動の邪魔になるのなら警察が強制的に排除してしまえばいいのですが、日本ではマスコミの権力が強すぎるうえに、業界内での庇い合いや談合が日常化しているため、それをしてしまうとメディアが寄って集って自らに不利益を与えた相手を悪者に仕立て上げて報じることができるからです。
過去にも何度も書いていますが、要するに「新聞社やテレビ局を対等に批判する組織」が日本には存在しないため、メディアに悪いイメージで報じられてしまうと対抗する方法がなく、警察も「警察に暴力を振るわれた」と報じられてしまうと弁解の方法がないので、うかつな事ができないわけです。
結果的に、マスコミが邪魔で消火活動が遅れるというひどい事態になったわけです。
2:近隣住民の迷惑を顧みない取材
次にこちらの記事を
京急事故でマスコミ現場に殺到 渋滞や騒音で非難の声
アメーバニュース 2012年9月26日
http://yukan-news.ameba.jp/20120926-357/ (リンク切れ)
http://megalodon.jp/2012-0927-0903-00/yukan-news.ameba.jp/20120926-357/ (ウェブ魚拓)
神奈川県横須賀市の京浜急行本線で9月24日深夜、土砂崩れにより、28人が重軽傷を負う特急電車の脱線事故が発生したが、ネットでは事故当時や事故後の現場の様子が続々と寄せられている。
24日深夜、京急田浦-追浜間で線路脇の斜面が崩れ、京成高砂発三浦海岸行き下り特急電車が線路に流れ込んだ土砂に突っ込み、先頭の3両が脱線。30代~50代の男女5人が肋骨や骨盤を折る重傷を負った。横浜地方気象台では、事故当時、大雨洪水警報と土砂災害警戒情報を出していたが、事故が起きた現場付近は大雨による運転規制の対象区間ではなかったとされている。
ネット上では、事故が起きた電車に乗っていた人たちからの報告も寄せられており、ツイッター上では「京急乗車中激しい衝撃で電車止まった」「なにか引いたのかと思ったがちがうらしい三回ほどのポンピングブレーキで衝撃はつよかった」「先頭車両にいました。体が投げ出され、本当にもうダメだと思った」などの現場の様子が報告がされている。乗客は事故後、雨の中の線路を歩いて避難したとのこと。
この事故にマスコミも現場に殺到。現場付近の住民からは、マスコミの機材車などが国道16号に路駐し、渋滞が発生していたことが報告されており、「京急の事故で、集まったマスコミが16号に路駐。1車線潰れて、ただでさえ混む時間帯なのに、渋滞に拍車がかかってた模様」「ハイヤーまで待たせてる…。報道する事は大事だけど、もう少し考えようよ」など非難する声も。
また事故が深夜に起きたことから、報道ヘリも早朝から現場に訪れており、「こらぁ!!!!中継ヘリ!!!!うるせぇってばよ!!!!何回起こす気だボケ!!!!」「今朝はヘリがうるさかった。脱線した京急の映像は一回撮れば十分だろう」などの意見もあった。
こちらは2012年に発生した京浜急行本線の土砂崩れ事故なのですが、この事例ではマスコミが事故現場に押し寄せ取材車両で渋滞を引き起こしたり、熊本でも問題になった取材ヘリによる騒音公害の問題が発生しています。
取材車両による渋滞の問題は東日本大震災や中越地震でも発生しており、救援物資や救助隊の遅延にも繋がったと言う経緯があるのですが、そんな事があってもマスコミは自分達の取材が何よりも優先されると考えており、現地の人々の事情などお構いなしです。
熊本地震の件でも書きましたが、当然本来は現地の人々の生活や復旧作業が何よりも優先であり、マスコミの取材は優先順位がそれよりも遥かに下のはずなのですが、日本では優先順位が実質的に「マスコミの取材が何よりも優先」というおかしな状況になっています。
マスコミが強い権力を持っているがために、このようなトラブルが次々と発生するのです。
3:災害や事故の際のマスコミ取材を規制する法整備が必要
今回書いたように、マスコミの取材はたびたび実害を伴う被害を発生させているにもかかわらず、何度も何度も同じ事が繰り返されると言う状況が続いています。
(最初にこうしたメディアの横暴が大きく問題になったのは雲仙普賢岳噴火の時ですから、もう25年以上に渡って表面化した問題が放置され続けるという異常な状況です。)
「マスコミの強引な取材で消火や復旧作業・救助作業が遅れました」「マスコミの取材で渋滞が発生し様々な事柄が遅延しました」「取材ヘリの騒音で必要なアナウンスが聞こえませんでした」「マスコミの強引な取材で近隣住民が迷惑を被っています」こんな事はあってはならない事です。
本来ならば、マスコミ業界が自省して対策を採るのが理想なのでしょうが、業界内の談合体質が日常化し、自らの行いを当然の権利と思い込み、「メディアに批判的な相手は悪である」とのレッテル貼りを一方的にできる彼らには一切自浄作用がありません。
このような有様である以上、災害や大きな事故の際にマスコミの横暴な取材を規制する法律が必要でしょう。
目に見えるリスクでもなければマスコミの引き起こす被害を抑制する事は不可能です。
マスコミの横暴さは災害や事故の現場だけではないのですが、こうした場でのマスコミの横暴はちょっとしたことで人命や多数の人々の生活にかかわる実害を伴うわけですから、法的な拘束力を持った強力な措置が必要と言うわけです。
現状の「災害や事故の現場でマスコミの事情が実質的に何よりも優先されている」という状況は異常すぎます。
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- テーマ:テレビ・マスコミ・報道の問題
- ジャンル:ニュース
- カテゴリ:マスコミ不信(2016年)
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