※次回5月1日はお休みし、再開は5月8日予定です。さて、本日は前回に引き続き「20世紀の古い体質」のまま進歩の無い
マスコミの問題を扱っていくわけですが、その前にお知らせがあります。
前回の記事に関してなのですが、南日本新聞の引用に関し、「看護師」と「介護士」を私が勘違いしており、見当違いの記事内容になってしまっていました。
ただし、いずれにせよ南日本新聞の記事にはミスリードがあったので、その件について書こうとも考えていたのですが、東洋経済の記事にもっとわかりやすく私が説明しやすい事例があったので、そちらを新たに引用し書き直しました。
ですので、もしよろしければそちらも読んでいただけるとさいわいです。
古い体質から抜け出せないマスコミ(2023年4月23日修正版)では今回の記事内容に移るのですが、今回の事例は前回のように「ネットの登場による変化についていけていない」という事は勿論、同様の手法で印象操作とレッテル貼りを行い、反対意見を封殺するような手法が使われている事例を扱っていきます。
まずはこちらの
中日新聞の記事から
「自民に裏切られた」旧統一教会信者 蜜月から断絶、矛先は共産に
中日新聞 2023年4月13日
https://www.chunichi.co.jp/article/671433
統一地方選では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係も問われている。昨年七月の安倍晋三元首相銃撃事件後、国会議員だけでなく、地方議員と教団側のつながりも浮き彫りとなり、岸田文雄首相は自民党総裁として、教団との関係を断絶すると宣言した。議員らの選挙を支えてきた信者たちは「自民党に裏切られた」などと失望感を募らせ、矛先を共産党に向ける動きもみられる。 (細川暁子、諏訪慧)
「選挙を応援し、プライベートでも付き合ってきた(保守系の)市議から『今回の選挙では事務所に顔を出さないでほしい』と言われた」。そう話す愛知県内の男性信者によると、この市議とは、教団とつながりがあった国会議員の紹介で十五年ほど前に出会った。
前回の統一選では、電話を使った投票の呼び掛けやビラ配りをして、この市議の選挙を手伝った。「先生(市議)に迷惑をかけられないから、今回は選挙応援を自重するしかない。選挙に関わることができなくて寂しい」とこぼす。
一方で、自民党への複雑な思いも吐露する。「憲法改正など教団側の考えと一致してきた安倍さんのことは今でも大好き。だが、岸田さんには手のひらを返されて、許せない思いだ」と... (後略)
こちらの記事は、一連の統一教会問題に関連した内容なのですが、最後の方で統一教会信者の言葉として「憲法改正など教団側の考えと一致してきた安倍さんのことは今でも大好き。だが、岸田さんには手のひらを返されて、許せない思いだ」と書かれています。
これがどう問題なのかというと、この記事に限りませんが、日本のメディアのいくつかで「憲法改正議論をさせたがっているのは統一教会の陰謀」であるかのようなミスリードがされている事です。
なぜこれがミスリードになるかといえば、改正賛成の意見は「統一教会の信者や支持者でなければ理解できない内容」という前提が無ければ、本来は成り立たない論であるからです。
では実際のところ、自民党の憲法改正、特に九条改正議論がどんなものかというと
4つの「変えたい」こと自民党の提案
自由民主党
https://www.jimin.jp/kenpou/proposal/
「自衛隊」の明記と「自衛の措置」の言及
現状
●自衛隊の活動は多くの国民の支持を得ている
●自衛隊について、①合憲と言う憲法学者は少なく、②中学校の大半の教科書が違憲論に触れており、③政党の中には自衛隊を違憲と主張するものもある
改正の方向性
●憲法改正により自衛隊をきちんと憲法に位置づけ、「自衛隊違憲論」は解消すべき
●現行の9条1項・2項とその解釈を維持し、自衛隊を明記するとともに自衛の措置(自衛権)についても言及すべき
(後略)
こちらにあるように、元々憲法学者の間で「自衛隊は違憲」という結論が多く、矛盾のある状態であったので、この矛盾をただし「現実に即した内容」に改正しようというのが、憲法改正の動きの主な論です。
ここで問題になるのは、「違憲状態で現実との間に矛盾があるのだから、矛盾の無い状態に改正しよう」という考え方は、統一教会の信者やその支持者達の間でしか出てこない発想であり、他の一般の人々はそう考えないのか、という前提が成り立つかどうかです。
また重要なのは、「別の解釈もある」等の話ではなく、あくまで「この矛盾」に対する認識が上記前提(統一教会信者や支持者)以外に成り立たないかどうかという事です。
またこれはあくまで「私の考え方」ですが、孫子の兵法では「戦争はしないほうが良い」とされており、その理由として「必ず人的・経済的被害が出るから」であるとしています。
そのうえで、戦争を起こす側は「受ける損害よりも得られる政治的・経済的利益が多いのであれば、結局戦争を選択する」のだから、結局はこちらも戦争への備えが必要になるが、戦う前に「勝つ準備」ができていれば、相手に「損害の方が大きい」と判断させ思いとどまらせることができるし、そうでなくとも勝つ準備ができていればこちらの被る被害を抑えることができるとしています。
色々と端折っていますが、これが孫子における「戦う前に勝つ」という考え方であり、後にリデルハートの「間接的アプローチ」の考え方「正面衝突を避け、間接的に相手を無力化・減衰させる戦略」に繋がっていくわけです。
九条改正反対派の人々は、「戦争をしたいから兵器を持つのだ」「武装をすれば戦争に繋がる」と反対していますが、紀元前の段階(孫子=紀元前500年の孫武の作とされ、以後様々な人々による加筆がされている)でそれとは全く逆の結論である「戦争はしないほうが良いが、実際に起こるのだからどうすればいいか、戦う前に勝てる状況を作ればいい」という答えが出ており、この考え方が今でも現役で、完全否定できるような理論も登場していません。
この考え方はクラウゼヴィッツの戦争論でも似たような概念があり、「戦争とは政治的目標を達成させるための手段であり、敵・味方の政治的交渉の継続に過ぎず、外交とは異なる手段を用いてこの政治的交渉を遂行する行為である」としています。
どういうことかというと、たとえば北朝鮮の核開発がわかりやすいですが、北朝鮮は核兵器を使用するために核開発を行ったわけではありません、国際社会において自分達の国を有利な位置に置くために、国際的な制裁というリスクを負っても、この政治的目標を達成するための手段として核開発を行ったわけです。
平たく書けば、外交交渉において「こちらは核を持っているぞ」という状況は、それだけで有利に働き、相手(主に韓国)に妥協や譲歩を迫る手段になるからです。
だからこそ、今現在の韓国では「独自核武装論」が大きくなっているという背景があります。
軍拡をすることは、それが戦争に直接つながるわけではないというわかりやすい事例です。
もっと平たく書けば「話し合い」を有利に進める手段としての「軍備」という発想もあるわけです。
なので、私としては「外交上の選択肢」を狭めてしまう九条は、現実に合わせて改正すべきという考え方です。
「戦争をしたいから九条を改正したいのだ」という考えや、「統一教会信者や支持者だから改正したいのだ」という考え方は、きわめて近視眼的考え方であり、またレッテルによって異論を封じてしまう、きわめて非民主的で「話し合い」とは最も遠い位置にある考え方であるというわけです。
最初の
中日新聞の記事は、そういった意味で「言論機関として失格」というのが私の結論です。
また次の事例では
旧統一教会系団体が学術会議を「反体制的」「解散せよ」と痛烈批判 その背景とは
東京新聞 2023年4月11日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/243299
日本学術会議法の改定案が今国会にも提案される。人選の方法を改めようとする現首相の岸田文雄氏、一つ前の菅義偉氏は学術会議のあり方を疑問視し、時に「目の敵」にしたようにも見える。背景は一体、何なのか。そんな問題意識から取材を進めると、「お家芸」のように古くから学術会議を痛烈に批判した組織が浮かび上がった。この「接点」をどう考えるべきか。(木原育子、中山岳)
◆改定案は「あからさまな介入」
5日にあった内閣府と
日本学術会議の面談。会議側から批判が続出した。「不透明でブラックボックス」「監視のための法改正だ」
内閣府から説明を受けたのが現政権が新設を目指す「選考諮問委員会(仮称)」。学術会議の会員選考に関わる「第三者組織」だ。
国主導で人事制度が変わりかねない状況に対し、長く学術会議の会員や連携会員を務めてきた宗教学者の島薗進氏は「あからさまな介入。政府や財界などが委員任命に関与しようとすれば、政府や与党、特定のグループの意向に従うような組織になる」と危ぶむ。
今は学術会議側が会員候補を選考した上、推薦を受けた首相が任命している。諮問委が新設されると、そのメンバーは学術会議の会長が選ぶ一方、会員候補の選考時に諮問委の意見を聞き、その意見を「尊重しなければならない」とする。
内閣府の児玉泰明参事官は「学術会議は国費でまかなう国の機関。選考過程の透明化は必要だ」と語る。
一つ前の菅政権も学術会議の人事に「介入」した。
2020年9月、学術会議から推薦を受けた会員候補6人の任命を拒否した。過去の国会では、政府側が「推薦された者をそのまま会員として任命する」と答弁したにもかかわらずだ。
ただ、近年の政権の思惑はいまひとつ分からない。菅氏に至っては真意を問われても「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から」と曖昧な言葉を繰り返した。
◆面白くない存在 右派結束の引き金
そんな中で、気になる動きを見せていたのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体、国際勝共連合だ。
機関紙「思想新聞」の1985年8月25日付では「蝕まれる『
日本学術会議』」「反体制的」と記し、「早く潰してしまうことが肝要だ」という関係者コメントも掲載。同年9月1日付では「こんなにある! 学術会議の左向き勧告等」と伝えた。
近年でも菅氏の任命拒否が表沙汰になると、サイト上で「『白い巨塔』ばり不透明な会員推薦」(2020年10月19日付)、「解散せよ」(21年1月18日付)とたたみかけた。
痛烈な批判の背景について、ジャーナリストの鈴木エイト氏は「教団側は世界平和教授アカデミーという組織で文化人を取り込んだが、なびかなかったのが学術会議の人たち。面白くない存在だった」と推し量り「菅さんの任命拒否と連動する形で、歩調を合わせたのだろう」と続ける。
学術会議批判にどれだけ力を注いだか、最近の政権にどう影響したか。勝共連合に尋ねたが、10日夕までに回答が得られなかった。
これらの点に関しては、慎重な見方もある。前出の島薗氏は「教団側の政治活動のテーマは60〜80年代は反共。冷戦崩壊後、伝統的家族観に政治工作の軸足は移ってきた」と語る。
一方で「日本社会は今も反共、反左翼の思想が根強く、何か引き金があると右派系団体も含めて結束しやすい。その一角として教団側の存在感は小さくなかった」と指摘する。
◆自民党 半世紀も前からの「お家芸」
過去の文書をたどると、学術会議に痛烈な批判をしてきた別の組織も浮かぶ。それは自民党だ。
国会の議事録によると、冷戦下の1960年には科学技術庁長官だった中曽根康弘氏の姿勢が問題視された。岡良一衆院議員(日本社会党)は、日本とソ連の科学技術交流を要望している学術会議の科学者を中曽根氏が「アカ呼ばわり」したとして追及した。66年には一部の自民議員が学術会議を「左翼に偏向」と見ているとして、別の野党議員がただした。
「学術会議たたき」がより鮮明だったのは、自民党機関紙「自由新報」(現自由民主)。71年4月27日付の1面トップでは「科学なき”赤い巨塔”学術会議」との見出しで批判記事を載せた。69年に大学紛争の沈静化を狙った関連法が成立した際、学術会議が大学の自主性尊重を訴えたことに触れて「反体制、反政府の姿勢から、事あるごとに”反対声明”をつづけてきた」と主張。日本共産党シンパの会員が増えているとし、「名ばかりの政治集団」「イデオロギー一辺倒」「”存在価値ない”」と報じた。
自民が機関紙で大々的な批判を展開した背景について、政治ジャーナリストの野上忠興氏は「自民を支持する岩盤保守層を意識しているからだ」と説く。
学術会議は49年の発足時から「戦争非協力」を掲げ、軍事目的の研究からは距離を置いた。原子力分野では54年、平和利用に徹するとして「公開・民主・自主」の三原則を唱えた。
折に触れて出す提言には、自民党政権の痛いところをついたものも少なくないと野上氏は指摘。「自民にとっては、何かと異論を挟む目障りな存在という感覚もあるのではないか」
◆に距離 気に入らず
学術会議を煙たがり「異論封じ」を唱えるような論調は、その後も出てくる。
80年、自民の中山太郎参院議員は自著で「左翼的なイデオロギーに偏向した会員に牛耳られている」などとし、「この体質的欠陥はすべて、その会員公選制、つまり選挙方法に起因している」と書いた。
中山氏は同年7月に総理府(現内閣府)総務長官に就任。翌81年に学術会議の運営をやり玉にあげた。国際会議に会員外の研究者を多く派遣しているとし、会員選考を含めた「改革」を唱えた。83年11月には、
日本学術会議法の改定法案が成立。公選制から推薦制になった。
こうした経緯について、東北大の井原聡名誉教授(科学技術史)は「自民党政権は学術会議を何とかコントロールしようと画策してきた。推薦制の会員選考でも近年は、政権が選びやすいように多くの候補を学術会議に求め、水面下で駆け引きしてきている」と見解を語る。
そもそも自民党には、軍事研究を含めて産業に活用できる科学技術政策を進める意向が根強いという。
「すぐ役立たない研究は気に入らず、協力しない姿勢を左翼的だと攻撃するのは、自民党内で文化のように醸成されてきた」
最近の菅氏、岸田氏の動きも、学術会議をできるだけ意に沿わせたいという自民の「お家芸」だとして、警鐘を鳴らす。
「学術会議が目指すのは真理の探究と、その成果が人類の福祉に役立つことだ。政府の言いなりになることではない。世界的に見ても科学者が集まるアカデミーは、政府から独立性を保つことが重要とされる。学術会議の人選に諮問委を導入すれば、批判的精神が細り、科学の正しい発展を阻害しかねない。時の自民党政権がたびたび介入しようとした歴史も踏まえ、慎重に考えるべきだ」
◆デスクメモ
自民の機関紙が学術会議を「科学なき”赤い巨塔”」と評したのが1971年。約50年後、勝共連合が「『白い巨塔』ばり」と記した。似た表現は書き手の世代的なものからか。「知る人ぞ知る批判」を踏襲したからか。時を超えた共鳴を思わせる状況。こちらも気になって仕方ない。(榊)
こちらも一連の統一教会関連なのですが、記事では
日本学術会議叩きには統一教会系の勝共連合が関わっており、
日本学術会議バッシングには統一教会が深く関わっているとしています。
こちらも典型的なレッテル貼りとミスリードです。
なぜかというと、そもそも「軍事研究禁止」という学術会議の考え方は、私が調べた範囲では70年代頃にはすでに問題点が指摘されていたようだからです。
どういうことかというと、60年代に無線誘導式のヘリコプターが開発され、70年代には商用化が進んだわけですが、この技術は軍事転用が比較的容易であったため、「いわゆる無線誘導式の機器の開発は軍事研究ではないのか」という矛盾の指摘が、80年代頃からあったようなのです。
またこれは現在矛盾点がさらに拡大しており、たとえばあくまで一例ですが、現在AI搭載型のドローン(搭載AIが画像認識・解析を行い自律飛行を行う)の研究が進み一部で実用化が始まっており、その利用法として農業や環境保全、災害現場、大規模イベントの警備、過疎地への配送などでの活躍が期待されています。
そして、こうしたAI搭載ドローンは仮に「民生用」として開発しても、現在ウクライナやロシアがやっているように市販品を軍事に利用する事はいくらでも可能であり、「民生用という名目で開発すればどんな技術の開発も可能なのか、その線引きはどこなのか」「開発した技術をどうやって制限するのか」「ロシアや中国や北朝鮮のような、国際法を守る意思のない国に利用されることを防ぐ現実的な手段はあるのか」という矛盾が出てきます。
(※実際には、この技術が既にアメリカと中国の戦闘機に搭載され「人間とのドッグファイトに勝利した」という情報も出てきています)
では、先ほどの九条の事例と同じように、ここに矛盾を感じ日本学術会議へ批判を行ったら、それは「統一教会シンパ」となるのでしょうか。
しかも、以前紹介した記事にあるように
【独自】中国「千人計画」に日本人、政府が規制強化へ…研究者44人を確認
読売新聞 2021/01/01
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20201231-OYT1T50192/
海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクト「千人計画」に、少なくとも44人の日本人研究者が関与していたことが、読売新聞の取材でわかった。日本政府から多額の研究費助成を受け取った後、中国軍に近い大学で教えていたケースもあった。政府は、経済や安全保障の重要技術が流出するのを防ぐため、政府資金を受けた研究者の海外関連活動について原則として開示を義務づける方針を固めた。
読売新聞の取材によると、千人計画への参加や表彰を受けるなどの関与を認めた研究者は24人。このほか、大学のホームページや本人のブログなどで参加・関与を明かしている研究者も20人確認できた。
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千人計画に参加した理由については、多額の研究費などが保証され、研究環境が日本より魅力的だとする研究者が少なくなかった。
44人のうち13人は、日本の「科学研究費助成事業」(科研費)の過去10年間のそれぞれの受領額が、共同研究を含めて1億円を超えていた。文部科学省などが公開している科研費データベースによると、受領額が最も多かったのは、中国沿岸部にある大学に所属していた元教授の7億6790万円で、13人に渡った科研費の総額は約45億円に上る。
米国は千人計画について「機微な情報を盗み、輸出管理に違反することに報酬を与えてきた」(司法省)などとして、監視や規制、技術流出防止策を強化している。海外から一定額以上の資金を受けた研究者に情報の開示を義務づけているほか、エネルギー省は同省の予算を使う企業、大学などの関係者が外国の人材招致計画に参加することを禁止した。重要・新興技術の輸出規制の強化も検討中だ。
日本では現在、千人計画への参加などに関する政府の規制はなく、実態も把握できていない。政府は米国の制度などを参考に今年中に指針を設け、政府資金が投入された研究を対象に、海外の人材招致プロジェクトへの参加や外国資金受け入れの際には開示を義務づけることを検討している。
今回確認された44人の中には、中国軍に近い「国防7校」に所属していた研究者が8人いた。うち5人は、日本学術会議の元会員や元連携会員だ。
中国は民間の最先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進し、最新鋭兵器を開発・導入するとともに、日本周辺でも覇権主義的な行動を強めている。日本政府は軍事転用可能な技術が中国に流出すれば、日本の安全保障環境の悪化につながると強く懸念している。
国防7校のうち、「兵器科学の最高研究機関」とも呼ばれる北京理工大には4人が所属。「ロボット研究センター」で、人工知能(AI)やロボット工学、ロボット製造に活用できる神経科学などを研究・指導していた。同センターは、弾道ミサイルの誘導や軍民両用ロボットなどを研究してきたとホームページで説明している。
同センターに所属していた研究者は、読売新聞の取材に、「私の研究も、大学で進むロボットの研究も、軍事転用は可能だ」と語った。民間技術と軍事技術の線引きは困難だと指摘する研究者もいた。
北京航空航天大にも4人の日本人が所属していた。同大は、大量破壊兵器であるミサイル開発の疑いがあるとして、貨物や技術の輸出時には経済産業省の許可が必要な「外国ユーザーリスト」に記載されている。
同大に所属する宇宙核物理学の研究者は、「軍事転用される危険性はどんなものでもある」としつつ、「教えているのは基礎科学の分野で、軍事転用とは最も距離がある。経産省の許可も得ている」と強調した。
◆千人計画=世界トップの科学技術強国を目指して、外国から優秀な人材を集める中国政府や省当局などの人材招致プロジェクト。国家レベルでは2008年から実施されている。中国の人材招致プロジェクトに参加した外国の研究者らは、米国や欧州を中心に、2018年までに7000人を超えるとされるが、中国側は近年、計画への参加者を明らかにしていない。
◆国防7校=中国の国家国防科学技術工業局の監督下にある北京航空航天大、北京理工大、ハルビン工業大、ハルビン工程大、南京航空航天大、南京理工大、西北工業大の7大学。中国の「軍民融合」戦略の担い手で、中国軍の兵器開発とつながりが深いとされる。
「中国軍に近い「国防7校」に所属していた研究者が8人いた。うち5人は、日本学術会議の元会員や元連携会員」と書かれており、学術会議のメンバーが間接的に中国の「軍事転用可能な研究」に無批判に関与している事が発覚しています。
また、中国の国防7校の「ロボット研究センター」に所属している日本の研究者が、読売の取材に答え、「私の研究も、大学で進むロボットの研究も、軍事転用は可能だ」と答えていますし、別の研究者は「自身の研究は軍事とは遠し」としながらも「軍事転用される危険性はどんなものでもある」と答えています。
この件について、「「軍事研究禁止」を掲げている日本学術会議の方針に、学術会議の所属研究者自身が反しているではないか、元々この方針には無理があるのだ」と批判をしたら、それは統一教会シンパとなるのでしょうか。
このことから解るのは、本来「統一教会とその関係者が日本学術会議を批判していた」という事と、「自民党による日本学術会議への批判」は全く別問題であり、分けて考えないといけないにも関わらず、
東京新聞の記事ではこの2つを分けておらず、ミスリードによるレッテル貼りになっているという事です。
東京新聞の記事からは、「自民党は統一教会の方針に沿って学術会議批判をしている」としか読み取れず、学術会議の方針そのものが矛盾だらけで弊害を引き起こしているという事実が無視されているわけです。
(本来は、統一教会云々ではなく、「矛盾している」という批判に反論するのが筋です)
今回紹介した2つの記事から解るのは、九条議論にしても日本学術会議問題にしても、様々な意見がネットを通じて広く知れ渡っており、多様な意見が存在しているにもかかわらず、「異論は統一教会シンパの仕業」とミスリードをし、異論にレッテルを貼り封じるような記事を新聞社が書いている事です。
ネットの登場以前であれば、このミスリードも通用したかもしれませんが、ネットを通じて多様な意見が形成されている現代においては通用しないにも関わらず、彼らはそれが解っておらず、これが
マスコミ不信につながっているうえに、こうした記事の需給者達がエコーチェンバーを引き起こし、異論を無視した閉鎖的な言論空間を形成しているというわけです。
彼らのやっている事は、「異論をレッテル貼りによる悪魔化で封じようとした」であり、これは異なる意見自体をさせないようにする、言論の自由とは対極にある手法で、彼らが「ネットを通じた対等な言論空間」に対応できていない事がわかるわけです。
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